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ワーキングメモリとは?
日常での役割と鍛え方をやさしく解説

「あれ、いま何をしようとしてたっけ?」——その瞬間に働いていた(そして途切れた)のがワーキングメモリです。脳の“作業机”とも呼ばれるこの力を、やさしく解説します。

ワーキングメモリ=脳の「作業机」

ワーキングメモリ(作業記憶)とは、情報を短時間覚えておきながら、同時にそれを使って作業する脳の働きです。よく「脳の作業机」にたとえられます。机が広ければ資料を並べて効率よく作業できますが、狭いと資料を置ききれず作業が滞る——そんなイメージです。

たとえば、こんな場面で働いています。

作業机は3つの部品でできている

ワーキングメモリの代表的なモデルでは、この働きを役割の違う部品の組み合わせとして説明します。心理学者バドリーらが提唱した枠組みで、いまも広く使われています。

この区別は実用的です。数字を唱えながら別の言葉を聞くと崩れるのに、図形を覚えながらなら意外と平気なのは、使う部品が違うため。同じ種類の作業を重ねるほど干渉が強くなるので、覚えごとをしながらの会話は避ける、といった対策につながります。

容量には限界がある

ワーキングメモリで一度に扱える情報量はごくわずかで、数個程度(研究では4±1個前後という説が有名)と言われます。電話番号を聞いてすぐ忘れるのは、あなたの記憶力が悪いのではなく、そもそも人間の仕様なのです。

だからこそ、情報を「かたまり(チャンク)」にまとめる工夫が効きます。「0901234…」を1桁ずつではなく「090」「1234」と区切って覚えるのがまさにそれ。記憶力の記事で紹介した関連づけも、チャンク化の応用です。

ワーキングメモリは、疲労・寝不足・ストレス・マルチタスクで簡単に性能が落ちます。「今日はミスが多いな」という日は、責める前にまず休息を。

ワーキングメモリを使う・鍛える

ワーキングメモリに意識的に負荷をかける課題として、研究の世界でもよく使われるものがいくつかあります。当サイトでは、それらを遊びやすいゲームにしています。

Nバック課題

次々に光るマスの位置が「N回前と同じか」を判断し続ける課題。「覚える・更新する・判断する」を同時にこなす、ワーキングメモリ訓練の代表格です。→ Nバックで挑戦

逆唱(逆順記憶)

見た数字を「逆から」答える課題。ただ覚えるだけでなく、頭の中で並べ替える操作が入るため、知能検査でも使われる形式です。→ 逆順記憶で挑戦

デュアルタスク

「数字を覚えたまま計算を解き、あとで思い出す」という二重課題。日常の“ながら作業”に近い負荷がかかります。→ デュアルタスクで挑戦

トレーニングの効果がどこまで日常に波及するかは研究途上ですが(こちらの記事参照)、これらの課題が「短時間で頭をフル回転させる質の高い刺激」であることは確かです。

日常でワーキングメモリを助ける工夫

鍛えると同時に、「負荷を減らす」工夫も同じくらい大切です。

子どものワーキングメモリ

ワーキングメモリの容量は子どものうちは小さく、成長とともに増えていきます。「指示を一度に3つ出すと最後しか覚えていない」といった場面は、話を聞いていないのではなく、単に机が狭いだけということが少なくありません。

家庭でできる工夫としては、指示を一度に1つずつ出す、順番を紙に書いて見えるところに貼る、復唱してもらう、といった方法があります。負荷を減らす発想は、大人の対策とまったく同じです。

よくある質問

ワーキングメモリと短期記憶は同じもの?

短期記憶は「一時的にためておく」働きを指すのに対し、ワーキングメモリは「ためながら操作する」働きまでを含みます。数字をそのまま答えるのが短期記憶寄り、逆から答えるのがワーキングメモリ寄りの課題です。

訓練で容量そのものは増えますか?

訓練した課題の成績が上がることは確かですが、容量そのものが増えて日常全般に波及するかについては研究者のあいだでも見解が分かれています。過度な期待はせず、集中して頭を使う時間として取り組むのが現実的です。

調子が悪い日はどうすれば?

寝不足やストレスの日は、無理に負荷の高い課題をやっても記録が落ちるだけです。難易度を下げて短時間で切り上げるか、その日は休んでください。数値が落ちること自体が体調のサインになります。